[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
山崎はジッと前を見つめた。
場所は特定されてるんやな…。
カラン…
下駄の音がすぐそこで聞こえた。
暗闇の中から姿が現れる。
「覚悟せぇよ」
追手はもう山崎の目に映っていた。
後ろを振り返った。
後ろにも追手がニヤニヤとしている。
山崎はもう一度きつく角材を握りしめた。
「おいおい~。お前それでやる気?アホか」
男はニヤニヤと歩み出てきた。
先程とは違い、勝ち誇った余裕感がある。
山崎は力一杯睨み付けた。【你一定要知的植髮流程】解答植髮失敗風險高嗎?植髮痛嗎? -
「文句あるんか」
ドスの効いた声で相手を凄ませる。
「あはははは!いやぁ。文句は全くあらへんけどなぁ」
笑いながら男はスラリと刀を抜いた。
「お前が死ぬだけや」
その言葉に山崎は大きく舌打ちした。
こりゃマジだな。
「やれ!!」
男が叫ぶと、したっぱであろう数人の浪人達が山崎に襲いかかった。
ゴスッ
山崎は相手の腹を角材で突く。
最初の方は相手が油断していたこともあり、対等だった。
だが、あまりに山崎が不利過ぎる状況だ。
次第に傷が増え出した。
まずいな。
刀を振られ、山崎は角材を構えた。
バキンッ!
「……え?」
山崎の手には真っ二つに割れた角材が握られていた。
今までのダメージが蓄積され、今の一撃で折れたのだ。
一瞬思考が止まった。
相手も固まっていたが、ニヤリと笑った。
その瞬間悪寒が走り、脳が再び働きだす。
まずいまずいまずい!
本間にあかんって!
冷や汗をかく。
男は刀を振り上げた。
刃に月が映って光った。
「おい。よく聞いとけよ…」
いきなり鋭い目をした男が登場した。
刀は止まったままだ。
次から次へと…。
「……あ!あん時の色男やん」
山崎の呟きに追手は眉を潜めた。
「お前誰や」
「関係ないやつはすっこんでろ!」
追手は皆、そいつを凝視する。
「うるせぇ黙れカス」
「な!」
「関係?大有りだ」
そいつは額に青筋を浮かべて睨んでいた。
「お前らは訂正しなければならない点が沢山ある」
「は?」
「ひとーつ。俺はボンボンじゃねぇ。なれるもんならなってるよアホ」
「アホやと!?」
「はいはーい。黙ってくださいカス~」
なんやこの男…。
山崎は呆然としていた。
「ひとーつ。俺はなんもできなくないわクソ野郎」
「ひとーつ。俺は弱くない。お前らの方が一人に全員でたかって、弱いんじゃねぇかバーカ」
追手は青筋を浮かべていた。
すこぶる苛ついている。
「ひとーつ…。お前らは俺に敬語を使うべきだ。
俺?俺か?……壬生浪士組副長、土方歳三じゃボケぇぇ!」
土方は鬼のような形相で叫んだ。
シーン…
壬生浪士組…土方歳三…。
「壬生浪士組?なんやそれ。そんなん知らん」
山崎が口を開いた。
「は!?てめ!知らねぇのか!?」
「知らん。兄ちゃん誰や。えらい整った顔してますなぁ。まぁ、眉間の皺と目付きが鬼みたいやけど」
「けっ…。助けにきてやったのによぉ」
土方は砂利を蹴った。
「兄ちゃん自分の憂さ晴らしに来ただけちゃうんか…。自分のことしかほとんど言ってへんやん」
「おう。憂さ晴らしだ。お前はおまけだから助けてやる」
土方は開き直ったように言った。
「んなもん頼んでへん」
つんけんとした山崎の態度に土方は睨み付けた。
「おい…。どうなってんだ?俺も壬生浪士組なんて知らねぇ」
追手の一番偉そうな奴がしたっぱに聞いた。
「さぁ?」
「あれですよ。会津の田舎侍を集めたあれです」
「あぁ!」
手をポンと叩いた。
その間にも山崎と土方の口論は続く。
「おい。お前」
追手が声を掛けた。
「だぁかぁら!一人で片付けれる言うてるやん!」
「よく言うぜ。そんなぼろ雑巾みたいにされてるくせに」
「はいはい!悪ぅございましたぁ!二枚目さんは自慢の顔が傷つく前にお家に帰ったらどうですかぁ!」
「お前はすでに二枚目の顔が傷ついてるぜ。ここで土下座したら助けてやろう」
「はぁ!?ふざけとんちゃうぞ!」
二人は全く聞こえていないようだ。
何が起こったのかわからなかった。
これが――これが、怖ろしいということか。
死を覚悟したことは幾度もある。
冬山で雪に閉じ込められた時。
崖から落ちた時。
熊に襲われ、その爪にかかった時――食料を調達している自分が死ねば、おばばも生きては行けまい。
ゆえに、死ねない――とは思っていた。
だが、心の底では、どうだったろうか。
坊主どもの中には「死は救済」と口にする者がいる。
民百姓を煽り、おのれの領地や権益を守るための方便だ。
だが、人としてあつかわれず、いつ餓死するか、いつ悪党共に襲われるかと、日々、怯えて暮らしているおばばにとっては、救済かもしれない――いつしか、そう思うようになっていた。
だから、怖ろしくなかったのだ。
おばばは、よく泣いた。【你一定要知的植髮流程】解答植髮失敗風險高嗎?植髮痛嗎? -
笑ったところは見たことがない。
遠くから覗き見る人間達とは明らかに違っていた。
どこかが壊れていたのだろう。
イダテンも笑ったことがない。
物心ついてから泣いた覚えもない。
だが、これは鬼の子だからであろう。
おばばが死んだのちは、自分が生きている意味さえ見出せなくなった。
生きるため、食うために狩る。
血肉を食らい、ただ、ただ生きる。
獣たちとなにが変わろう。
いや、獣であれば仲間や家族もあろう。
自分には、それさえも与えられなかったのだ。
ゆえに、今日、生きる意味と目的を与えられたのだと思っていた――三郎の遺志を継ぐという。
自分の死は姫の死を意味する。
三郎やミコ、そしてヨシを失い。さらには三郎や義久が命を賭けてでも守りたかった、その姫をも、ここで失おうとしている。
ならば自分は一体何のために、この姿と、この力を持って生まれてきたのだ。
父と母を死に追いやり、人に蔑まれ、おばばを看取り、死んでいくためか。
この世でただ一人、おれのことを友と呼んでくれた三郎の願いひとつ叶えてやることも出来ず、ここで骸をさらすためか。
――怒りに震えた。
――これが、おれの天命だというのか。
これが、神の意志だというのか。
ぞわり、と、イダテンの中で何かが目を覚ました。
真紅の髪の毛が逆立った。
口端から犬歯が覗いた。
雄叫びをあげ、弓を手に藪から飛び出してきた黒い影に向けて手斧を飛ばした。
手斧は、その影の頭部を吹き飛ばし、中にあるものをぶちまけながらその先に落ちた。
道を駆け戻りながら、柄に結び付けている縄を手繰り寄せる。
藪に潜んでいた者たちが、弓を手に次々と姿を現した。
残り七人――いや、まだ出てきていない者もいるだろう。
怒りが体を突き動かした。
敵が矢をつがえるより早く間合いに入った。
低い姿勢から手斧を振り回し、足を吹き飛ばした。
二人目の腹を裂き、三人目の肩を砕いた。
血潮をぶちまけながら、先に進もうとして足を滑らせ、膝をついた。
左足の踏ん張りがきかない。
手斧に振り回され、力も息も続かない。
凍えた指にも力が入らない。
ここぞとばかりに太刀を振りかぶってきた男の胸に手斧を投げつけた。
ひしゃげた音と、こぽっという音がして男は口から血を吐きだした。
だが、明らかに力が落ちている。
加減したわけでもないのに突き抜けさえしない。
男が落とした太刀を掴む。
残り――あと三人。
一人はいかにもがっしりとした横幅のある男。
二人目は背の高い若い男。
もう一人は中肉中背。
三人は顔を見合わせ藪に消えた。体力を消耗する攻防を避け、先を急ぎたかった。
しかし、柵越えに手間取るだろう。
後方から矢を射かけられれば、すべてが終わる。
太刀と血まみれの手斧を手に、重い体に鞭打って藪に入る。
姫の苦しそうな声が耳に届いた。
怒りにまかせた動きで負担がかかったようだ。
かわいそうだが、しばらく辛抱してもらうほかはない。
通り抜けると、絶壁に囲まれた草地に出た。
押さえつけられ踏みつけられた枯草と洞窟近くの岩場を月の光が照らしだした。
三人は、左手奥の朽ちかけた祠の横で太刀を手にして待っていた。
月の光を背負い黒い影となっている。
光の差し込まない右手崖下の窪みに姫を乗せた背負子を下ろし、間合いを詰める。
そして朝五つ半。
濃姫は千代山が用意してくれた輿に乗り込み、侍女の三保野やお菜津らを伴って萬松寺へと出立した。
輿は何事もなく進み、那古野城の南にある亀獄林萬松寺へ無事に到着すると、
濃姫はさっそく三保野やお菜津と共に、大雲永瑞和尚に挨拶に出向いた。
その後、本堂の方で暫し御本尊に祈りを捧げると 【你一定要知的植髮流程】解答植髮失敗風險高嗎?植髮痛嗎? -
「何やら目眩が致しまする…。少し奥で休ませていただいても、よろしゅうございましょうか?」
と和尚に頼み、濃姫は空部屋へと導いてもらった。
その道すがらのこと。
濃姫が和尚の背に従って寺の廊下を歩いていると、前方から7、8歳くらいの少年が、
パタパタと可愛いらしい足音を響かせながら駆けて来た。
和尚はすかさず少年の前に立ちはだかると
「これこれ、行儀の悪い。お客人の前で失礼でございますよ」
と、穏やかな声色で窘めた。
少年は「あ…」となって、慌てて頭を垂れる。
「申し訳ございませぬ。信長様との約束の刻限に遅れそうでしたので、急いでおりました」
少年の言葉を聞き、濃姫は思わず眉根を寄せた。
「どんな理由があるに致せ、人前で無礼を働いてはなりませぬ。以後お気をつけなされよ」
「はい……。失礼致します」
少年はその無垢な顔に反省の色を浮かべると、和尚や濃姫らに一礼を垂れ、静かにその横を通り過ぎて行った。
姫は怪訝そうな面持ちで少年の背を見送ると、再び前に向き直り
「畏れながら、あの童は?」
と和尚に訊ねた。
「松平竹千代殿にございます」
「竹千代殿?」
「三河の岡崎城主・松平広忠殿のご嫡男でございまして、今は織田家の保護下にございます」
「されど、駿河の今川氏の庇護を受けているはずの松平氏のご嫡男が、何故に尾張におられるのです?」
「ちょっとした、事故がございましてな」
「事故?」
和尚が言うには、濃姫が信長に嫁す以前の天文十六年(1547)。
岡崎を攻略しようとする信秀に対抗するため、竹千代の父・広忠は今川氏から援軍を送ってもらう代わりに、
当時六歳だった竹千代を“人質”として今川氏のもとへ送ろうとした。
ところがその道中、密かに織田と通じていた田原城主・戸田康光により、
竹千代の身は信秀に売り渡されてしまい、この幼子は一転織田家の人質となったのである。
信秀はこの竹千代を利用して、松平家に織田への服従を求めたのだが、事は思うように運ばなかった。
広忠は我が子の命よりも今川家への義理を守り、信秀の要求を突っぱねたのである。
思惑の叶わなかった信秀であったが、竹千代に何らかの魅力、または利用価値を感じたのか、
熱田の加藤図書助順盛邸、次いで萬松寺※へと、今尚竹千代を人質として留め置いている状態であった。
「しかもこの春には、父君の広忠殿も若くして身罷(みまか)られてしまいましてな。何かとお辛い境遇にあるのです」
「俺イギリスに行ってくらぁ。」
ようやく寒さも和らいだ春の日に,高杉は突拍子もなくそう言った。
イギリスには元から行く気は満々だったが邪魔が入り行けてなかった。
「長崎に出てそこから船に乗る。兵法指南に大村さんおるけぇ俺出ても大丈夫やろ。と言うかもう決めたけぇ行くからな。」
誰も止めてくれるなと高杉は言うが,何言っても聞かないのは分かってるからみんなの反応は“あ,はい”ぐらいなもんだった。
「毎回毎回即断即決ですねぇ。」 【你一定要知的植髮流程】解答植髮失敗風險高嗎?植髮痛嗎? -
「悩んどる時間は無駄や。」
縁側でごろりと転がり春の日差しに目を細める高杉の横で三津は繕い物をしていた。
「どれぐらいの期間行かはるの?」
「さぁなぁ。長期に渡るやろな。船は酔うけぇあんま好かんけど。」
大欠伸をしながら膝を貸してくれと言って,笑顔で針で刺されそうになった。
「三津さんも行くかー?」
「それならご自分の奥様誘ってください。それよりさっき話に出た大村さんってどなたですか?」
相変わらず俺には冷たいなと喉を鳴らして体を起こした。
それから高杉は大村益次郎と言う男について話し始めた。
「大村さんも萩の出身で医者や。兵学にも長けとるけぇ宇和島藩に専属医師として雇われとったんや。宇和島って分かるか?そこの海の向こう側にある島の地名や。」
高杉は三津に言っても地理など分からんだろうと適当な方向を指差して教えた。三津も縫い物をしてるからへぇ~ぐらいの反応しかしなかった。
「それからこっち戻って来てうちの軍の改制だの尽力してくれてる。あれや,俊輔がイギリスに密航する手助けもしてくれた人や。
俺よりも断然知識があるけぇ他のモンじゃ思いもよらん策を練りだす。あの人がおったら大丈夫やろ。」
「へぇ~。私会う機会ありますかね?」
「分からんけど歩く問題児やけぇ歩いとったら会えるかもな。散歩行くか?九一らおらんけぇつまらんやろ。」
そう言って高杉はまた欠伸をした。今日は高杉以外が軍事の会合に出ている。入江と共に山縣も呼ばれているから高杉が三津の世話役になった。
「散歩……じゃあお菓子買いに行きましょ!」
その提案に高杉は瞬時に嫌そうな顔をした。前回の女将との騒動以来,三津は宣言通り毎日お菓子を買いに行っていた。それに付き合わされる入江が可哀想だなと他人事みたいに思っていたが,とうとう今日は自分が行く羽目になるとは。
「気まずくないん?女将と。」
「最初はちょっとお互いに……。でも今は普通ですよ?九一さんは流石に外で待つようにしてはるけど。」
「やろうな。」高杉は俺も外におるのでいいならと和菓子屋行きを了承した。
三津は繕い物を一旦やめて高杉と出掛けることにした。
「前より伸びたな。」
高杉は並んで歩く三津の後頭部からちょんと伸びた髪を指で突いた。
結い上げるまでは出来ないが後ろで結紐で束ねる事は出来る。そこに入江から貰った髪飾りを挿していた。
「なぁあれから九一とは?やっとらんそ?」
「まぁたすぐ下の話する!してませんよ。九一さんは前より一歩身を引いてます。」
本当に我慢強く誠実な彼は以前より触れてくる回数も減った。初めは好きな気持ちが減ってしまったのかと少し寂しく思ったが,そうではなく単に叶わぬ恋に悶える自分を愉しんでいるとの事。
本人からそれを聞いた時,根っからの変態だなと改めて思った。
「相変わらず何考えてるか分からん奴やな……。そんで三津さんは?木戸さんとはどうなん?定期的にしちょるん?」
「やからそれ以外聞く事ないんですか?そりゃ求められたら応えますよ。これでも妻ですから。」
なんだかんだ三津も素直に答える。だから高杉が調子に乗るのだ。
「木戸さんはやっぱ激し目?」
「数は二十七、八名。隊長らしき者はいない。モブだね」
「脱走兵たちは、副長って気がついているかな?」
「将官がいることはわかっているみたいだ。だけど、それがだれかは気がついていない。連中、将官の頸を持って敵に投降するつもりかもしれないね。どうする?」
頭上で生い茂る枝葉の間から、月光がわずかに射し込んでくる。俊春の顔色は、控えめにいっても悪すぎる。
「全員殺る?」
つづけられた問いは、植髮 風險 かれらしくないと思った。
が、そこには口封じの意味がこめられている。
土方歳三とわからずに攻撃してきているのだとしても、万が一ということがある。
それ以前に、たとえいま蹴散らすなり追い払うなりしても、ここに将官がいるという情報を持って敵軍に投降してしまうだろう。
逡巡した。
物理的には、俊春ならたとえ重傷を負っていても全員を瞬時に殺れる。
心情的には、させたくない。そもそも
「二人とも、かようなを奪いたくはない。
「俊春、狩猟小屋に縄はあるか?」
「鍛錬用の鉄鎖ならあるけど」
「全員を捕まえられ……」
「きかれるまでもないね。『It’s a piece of cake.』ってやつだよ」
おれが問うまでに、かれは即答した。
ちなみに、『It’s a piece of cake』というのは、簡単だとか朝飯前という意味である。
「体、大丈夫か……」
「うん、大丈夫。じゃあ、ひと暴れしてくる。きみは狩猟小屋にいって、鉄鎖の準備をして」
「わかった」
了承するまでに、かれの姿が消えた。
と認識するまでに、銃声のかわりに襲撃者たちの悲鳴があがりはじめた。
「主計」
になっている。
「兼定のお蔭で、いち早く連中の存在を知り、応戦できた」
副長の説明に、一つうなずく。
相棒には、感謝の眼差しを送っておいた。
相棒はいつもの塩対応ではなく、ちゃんとそのを受け止めてくれた。
「味方の脱走兵です。副長、あなたとはわかってはいません。ですが、将官がいることには気がついています。その情報を手土産に敵に駆け込むかもしれません」
説明しながら、狩猟小屋に入ってみた。
すると、それが目に入った。
ちょっ……。
様々な長さの鉄鎖が、狩猟小屋の土間部分の大半を占拠している。
俊冬と俊春よ。おまえたちは、いったいどんな鍛錬をやっているんだ?
呆れ半分、畏怖半分。そんな思いをしつつ、みんなに手伝ってもらって鉄鎖を狩猟小屋から運びだした。
その作業がおわるまでには、俊春は襲撃者二十七、八名全員を気絶させていた。
どんなコンディションでも、確実に任務をこなすかれはマジですごい。
子どものときにかれらにはじめて会った際、親父はかれらのことを『ダークヒーロー』みたいなものだと評した。
実際のところ、かれらはそうなんだろう。
だが、おれにとってはカッコいい『スーパーヒーロー』である。
市村や田村も加わり、全員で襲撃者たち一人一人を鉄鎖でぐるぐる巻きにした上で木にくくりつけた。
これでぜったい、襲撃者たちは身動きがとれない。
いつ発見されるか、そもそも発見されるかどうかは、かれらの運しだいである。
申し訳ないが、これ以降のかれらの命運は「神のみぞ知る」、である。
「弁天台場のほうは、史実通りもう間もなく投降します。あぁ、そうそう。副長、みんなに副長の戦死のことを伝えました。みんな、とりあえずは副長の死を悲しんでいるふりをしていました」
「この野郎っ!」
場を和ませようとジョークをいっただけなのに、頭を殴られてしまった。
みんなが笑いはじめた。
よかった。
みんなに笑顔がもどっている。
が、俊春の笑みはかたい。
「副長、これを」
俊春は小屋の片隅にいくと、壊れてボロボロになっている棚をどかせ、なにやら取りだして戻ってきた。
差しだされたのは、三つの風呂敷包みである。
迂回して狩猟小屋に駆けつけると、相棒が駆けよってきた。副長たちもホッとした